酸性雨

　酸性雨とは、通常ｐＨ（水素イオン濃度指数）５．６以下の雨をいいます。石炭や石油などの燃焼で生じる硫黄酸化物や窒素酸化物などが大気中に取り込まれて生じると考えられています。
　欧米では、湖沼や森林などの生態系に深刻な影響を与え、国境を越えた国際問題となっています。日本では、環境庁による酸性雨調査の結果、全国的に年平均値でｐＨ４台の降水が観測されていますが、生態系への影響は顕在化していないとされています。
　しかし、今後も現在のような酸性雨が降り続くとすれば、湖沼や河川などが酸性化し魚類等へ影響を与えること、土壤が酸性化し森林等へ影響を与えること、直接樹木や文化財等の衰退や崩壊を助長すること、などの広範な影響が懸念されています。

○京都府では

　京都府においても全国的な傾向と同様、ｐＨ４台の降水が観測されています。この酸性雨・酸性雪がひとつの要因となって、大江山や鼓ヶ岳でミズナラなど広葉樹の立ち枯れが生じているという説もあります。森を住みかとしている鳥にとっても、森の恵みにあずかっている私たちにとっても重要な問題です。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　資料：京都府環境白書平成８年度版

　大江山山系で、コナラなど広葉樹の立ち枯れが深刻な状況になっている。カシノナガキクイムシの大量発生によるもので、被害は現在、ふもとの山々にまで達している。被害を食い止める効果的な手だてがなく、府など関係機関は「どうすることも出来ない状態」と頭を抱えている。

　大江山では、９２年ごろから旧河守鉱山跡の白石地区で立ち枯れが目立ち始めた。カシノナガキクイムシがコナラやミズナラに穴をあけて侵入、立ち枯れを引き起こした。被害が拡大する中、府は９４年度から３カ年計画で保安林改良事業を実施。枯死したコナラなど約１１ｈａの範囲を伐採し、そのあとにスギやヒノキ、イロハモミジ、ヤマザクラなどを植えた。
　その後、立ち枯れは治まったかのように見えたが、最近になって再び紅葉のように赤く枯れた樹木が目立ち始め、日本の鬼の交流博物館近くの山々にまで広がっている。被害面積は現在、３５ｈａに及んでいる。