森林の二酸化炭素固定

　植物は光合成により二酸化炭素を吸収しています。したがって、植林をしたり、植林前に切った木を、プラスチックなどの代わりに材木として有効利用できれば、温室効果ガスの排出量を減らすのに役立ちます。逆に樹木を燃やしてしまえば、温室効果ガスを排出することに等しいことになります。京都会議においては、この森林による吸収などによる効果も削減目標量に算入することになりました。
　現在、世界の森林は約34億５千万ヘクタールであり、全陸地面積の約27％を占めています。世界的に見れば、森林面積は、伐採や農地の開発などにより減っています。特に熱帯林については1990年から1995年の間で年平均約1290万ヘクタールの森が減少しています。森林を守ることはもちろん、温暖化防止の観点からは、植林がますます重要になってきます。木材製品については、できるだけ長く愛用することが大切です。また、紙のリサイクルなどにも努めましょう。

　昨年１２月の京都会議でネット方式が採択されましたが、この時の新聞報道を読んでいて、よく理解できなかったのが、ネット方式に反対する意見です。

　だって植物は二酸化炭素を吸収して光合成を行い、酸素を放出しているんですから。森林による吸収量を排出量から差し引いてもいいんじゃないかと単純に思ったわけです。

　６ＣＯ_２＋６Ｈ_２Ｏ　→　（Ｃ_６Ｈ_１０Ｏ_５）＋６Ｏ_２＋Ｈ_２Ｏ

　

　ニュースを読み直しますと、主張のひとつは、「森を含む生態系からの吸収や排出という炭素の動きに関して信頼性のある概算数値は、まだ科学的根拠が無く、ともすればまだこれから何年も確立されないかもしれない。」というものでした。
　森林の二酸化炭素吸収量は、気候や、土壌の肥沃度、樹木の種類、森林の成長段階、森林の管理方法などにより、変化するものですから、森林の吸収量を概算するのは不確定要素を含まざるを得ないことは確かです。

　また、「吸収源に固定されている炭素は、将来いつ放出されてもおかしくない。森林火災や伐採がその一例である。したがって、吸収源は使用されない化石燃料よりもずっと不安定であるといえる。」という意見も、その通りだと思います。

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○成長しきった森林は、二酸化炭素固定能力が無くなるの？

　植物は二酸化炭素を吸収して炭水化物をつくり成長します。下図に模式的に示したように、成長の初めは、現存量の増加速度は大きいのですが、次第に小さくなり、やがて増加しなくなります。
　現存量が上限に達した状態の森林は、生産された物質のほとんどは枯死量となり、動物や菌類などの生産、分解に利用されることになります。つまり二酸化炭素の集積能力はなくなってしまいます。

　Ｐｎ＝Ｐｇ−Ｒ＝ｙ＋Ｌ＋Ｇ　　　　

　Ｐｇ：総生産量　　　　　　　　　　
　Ｐｎ：純生産量　　　　　　　　　　
　Ｒ　：呼吸量　　　　　　　　　　　
　ｙ　：一定期間内の現存量の増加部分
　Ｌ　：植物体の枯死量　　　　　　　
　Ｇ　：動物による摂食量　　　　　　

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