由良川のカワウ

由良川筋で大型の水鳥・カワウがここ数年目立って増えている。大量のフンで竹藪が枯れる被害が出ているほか、稚アユが食べられており、由良川漁協では、ブラックバスに次ぐ新たな天敵の出現に頭を痛めている。カワウは保護鳥で、むやみに捕獲できず、今のところ打つ手なし。今期も稚アユが遡上する春を前にし、被害が心配されている。

長年、府鳥獣保護員を務めている森方徹さんによると、由良川筋では７年ほど前に初めて２、３羽が確認され、以後徐々に数を増やし、特にここ１、２年で急激に増えた。昨年１１月には過去最高の２３０羽を確認したという。
生息域も下流域の舞鶴市から上流域の綾部市まで全流域にまたがっている。福知山市では土師川との合流地点からさくら橋にかけた猪崎側本流の竹藪をねぐらにしている。ここでもすでに一部で竹が枯れている。
同漁協には組合員から頻繁に「カワウが増えてアユが食べられているようだ」と連絡が入っている。同漁協は、アユに限らず他の魚も食べるが、カワウの数が多いだけにアユの被害はかなりの量になると見ている。
カワウは集団で漁をして、ごく小さい魚は狙わず、放流する稚アユ（7,8cm）ぐらいからさらに大きい魚を狙うようだ。
由良川でカワウが増えた原因について森方さんは、愛知県の知多半島で集団繁殖していたが、そのすみかが道路建設で奪われ、一団が琵琶湖へ移住。その琵琶湖で問題を引き起こして追われて分散した。その一部が福井県小浜に移り住み、それが南下して由良川や兵庫県北部の円山川にやって来たと推測している。
すでに円山川ではカワウが異常繁殖し問題化している。ほかの地域でも一部漁協の運営に支障をきたし、中にはカワウによってアユ漁が不漁になり、遊魚料を払い戻した組合もあるようだ。
由良川漁協では「本流の綾部市山家でもかなりいると聞いている。由良川は川が大きいのでまだいいが、小さい川に多数のカワウが押し寄せれば遊魚券の払い戻しもありうるだろう」と話している。
アユの天敵・ブラックバスに加えて、今度はカワウ。今後、定住を決め込んで更に数を増やすようなら、問題は更に深刻化する。